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5月



草野心平

1903年5月1日 生まれ


       春殖


  るるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるる





       秋の夜の会話

  さむいね。

  ああさむいね。

  虫がないてるね。

  ああ虫がないてるね。

  もうすぐ土の中だね。

  土の中はいやだね。

  痩せたね。

  君もずいぶん痩せたね。

  どこがこんなに切ないんだろうね。

  腹だろうかね。

  腹とったら死ぬだろうね。

  死にたかあないね。

  さむいね。

  ああ虫がないてるね。


「日本詩人全集24金子光晴・草野心平」新潮社より

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斎藤茂吉

1882年5月14日 生まれ


     死にたまふ母 より短歌六首


みちのくの母の命を一目見ん

          一目みんとぞただにいそげる



死に近き母に添ひ寝のしんしんと

          遠田(とほだ)のかはず天に聞こゆる



我が母よ死にたまひゆく我が母よ

          我(わ)を生まし乳足(ちた)らひし母よ



のど赤き玄鳥(つばくらめ)ふたつ屋梁(はり)にゐて

          足乳根(たらちね)の母は死にたまふなり



星のゐる夜ぞらのもとに赤赤と

          ははそはの母は燃えゆきにけり



どくだみも薊(あざみ)の花も焼けゐたり

          人葬所(ひとはふりど)の天(あま)明けぬれば


「日本詩人全集10 斎藤茂吉/『赤光』」新潮社より

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寺山修司

1983年5月4日 没


       半分愛して


  半分愛してください

  のこりの半分で

  だまって海を見ていたいのです


  半分愛してください

  のこりの半分で

  人生を考えてみたいのです






       時には母のない子のように


  時には母のない子のように

  だまって海を見つめていたい


  時には母のない子のように

  ひとりで旅に出てみたい


  だけど心はすぐかわる

  母のない子になったなら

  だれにも愛を話せない


  時には母のない子のように

  長い手紙を書いてみたい


  時には母のない子のように

  大きな声で叫んでみたい


  だけど心はすぐかわる

  母のない子になったなら

  だれにも愛を話せない


「寺山修司少女詩集」角川文庫より

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