歌集 死と乙女
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No.B143049
NDC 911.168
ISBN:4806011037 |
宮田美乃里 著 沖積舎刊 |
初版 2004/06/21
\1575 |
「死と乙女」より抜粋
「はじめに」より
三十二歳の秋、私は左乳房全摘出の手術を受けます。女性の象徴である乳房、しかも独身でそれを失ってしまうということ。ショックで、もう短歌は詠めなくなるのではないかと思いました。ところが予想に反して病室で次々に短歌が生まれてきたのです。
「まだ書ける…」
それは、私にとっての救いでした。
第二歌集『死と乙女』には、乳がんの告知後から手術後までの様々に揺れる心の軌跡が描かれています。この題名は、私が最も愛する作曲家の一人であるシューベルトの楽曲名をお借りいたしました。
孤独で寂しい人生を歩んだシューベルト。私もまた、孤独で寂しい、一人の女です。
もし、この歌集を手にとってくださる方が、やはり孤独で寂しいのなら、どうか、その心に寄り添わせてください。私は、あなたのそばにいます。
一 「魂のこえ」より
- タンポポよこちらを向いて咲かないでいま死を決意したばかりなの
- 乳房(ちちふさ)を切除したって女です真っ赤な薔薇の花かごを抱く
二 「流れ星」より
- 病床でイメージするのは神様の光が雨のように降ること
- 木漏れ日に揺られて歩くわたくしのバッグに買ったばかりの香水
三 「椿姫」より
四 「夕顔」より
- しなだれた野の花ばかり目がいくの自分ががんと知ったときから
五 「アヴェマリア」より
- アヴェマリア歌う夢みて目がさめる震える胸の湖の月
- ひまわりは九月になるとうなだれて大地の歌に聴きいるのです
六 「運命」より
- 憎しみを抱えたままで死んでゆく私を神よ憐れみたまえ
七 「花の歌」より
- わたくしががんと告知をされてから白いユリなど避ける両親
八 「夜スミレ」より
- 夜の闇にアロマランプの薄明かり花びらになる私の影
- 母さんのお腹の中に帰りたいそして産まれず死んでいきたい
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歌人宮田美乃里について ノンフィクション作家 高橋幸春 より
「死と乙女」からは死への恐怖や刺々しい思いは感じられない。むしろ命の息吹さえ感じる。
生命が続く限り、呼吸をするように短歌を詠みつづけてほしいと願っている。短歌は宮田美乃里の生きるあかしそのものだから。
宮田美乃里[ミヤタミノリ]
1970年11月23日、静岡市生まれ。大学では心理学を専攻する。在学中および卒業後、フラメンコ・ダンサーとしてイベント等に参加。フラメンコ・ダンス講師となるが、病気により現在は休職中。 |
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